国際相続ケース4 日本に居住する国際結婚されている外国籍の方

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このケースは、日本人と国際結婚された外国籍の方が、日本で居住している間に、相続が発生した場合を想定していますが、これには、日本人の配偶者の方が亡くなった場合、外国籍の方が亡くなった場合、外国籍の方の外国籍の被相続人が海外で亡くなった場合が考えられます。
 

(1)日本人の配偶者の方が亡くなった場合

遺産分割

この場合、基本的にケース1の場合と同様で、通常、日本にいる外国籍の配偶者やその子等の相続人同士で、協議をして遺産分割をします。
協議がもめて、遺産分割が成立しない場合には、日本の家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをすることになります。この場合、日本の国際私法である法の適用に関する通則法36条では、相続に適用される法律は、被相続人の本国法であるとされており、それは日本法なので、日本法に従って、遺産を分割すればよいことになります。
 

相続税

相続税法では、日本に住所を有する者は、国籍にかかわらず、居住無制限納税義務者として、被相続人の全世界の財産が相続税の対象となります。したがって、被相続人が香港やニュージーランドのように相続税のない国に資産も持っていたとしても、日本で相続税を支払う必要があるのです(もちろん、相続する資産額が基礎控除等の範囲に収まっていれば、支払う必要はありません。)。

 

(2) 外国籍の配偶者の方が亡くなった場合

遺産分割

このケースでも、基本的にケース1と同様で、通常、日本にいる日本人の配偶者やその子等の相続人同士で、協議をして遺産分割をします。
 
そして、法の適用に関する通則法36条では、相続に適用される法律は、被相続人の本国法であるとされているため、ケース4(1)と異なり、適用される法律は、相続人同士で協議する場合も家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをする場合も、日本法ではなく外国籍の方の本国法ということになります。亡くなった外国籍の方の相続人が海外にいる場合には、その方も含めて遺産分割をする必要があると考えられます。
 
被相続人の本国法に従って遺産分割がなされるので、被相続人が本国に資産を有する場合も、預金、不動産等の名義変更手続も比較的問題が少ないものと考えられます。
 

 

相続税

相続税法では、日本に住所を有する者は、国籍にかかわらず、居住無制限納税義務者として、被相続人の全世界の財産が相続税の対象となります。したがって、被相続人が香港やニュージーランドのように相続税のない国に資産も持っていたとしても、日本人の配偶者が、日本で相続税を支払う必要があるのです(もちろん、相続する資産額が基礎控除等の範囲に収まっていれば、支払う必要はありません。)。

 

これに対して、海外に居住している外国籍の相続人は、制限納税義務者として、原則として、被相続人が有していた日本国内の資産についてのみ相続税の課税対象となります。海外に居住する外国籍の相続人は、被相続人が死亡時に日本に居住していたとしても、非居住無制限納税義務者にはならず、原則として、制限納税義務者として、日本国内の資産のみが相続税の課税対象となります。

 

ただ、この点に関しては、平成25年の税制改正により、平成25年4月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する国外財産について、日本国内に住所を有しない個人で日本国籍を有しないものが、日本国内に住所を有する者から相続若しくは遺贈又は贈与により取得したものを、相続税又は贈与税の課税対象に加えることとされており、海外に居住する外国籍の相続人が、日本に居住する被相続人から相続する場合には、日本国内の資産のみならず、海外資産も相続税の課税対象とされることになりましたので注意が必要です。

 

(3) 外国籍の被相続人が海外で亡くなり、日本にいる外国籍の方が相続する場合

遺産分割

このケースでは、相続が海外で発生しているため、相続人は、海外で相続手続を行うことになり、その場合、現地国の法律にしたがって処理がなされるものと考えられます。
 

相続税

しかし、相続人が外国籍の方でも、日本に住んでいる限り、居住無制限納税義務者として全世界の資産が日本の相続税の対象となります。
 
なお、現地国でも相続税が発生する場合に、二重課税となり、日本で外国税額控除は認められる可能性があります。


 

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国際相続についての目次

■国際相続について 国際相続と国内での相続の違いをご説明します
■国際相続のケーススタディ
国際相続ケーススタディ1 海外投資されているケース
  国際相続ケーススタディ2 海外赴任、海外留学されているケース
  国際相続ケーススタディ3 海外移住をされている方のケース
  国際相続ケーススタディ4 日本に居住する国際結婚されている外国籍の方
■国内相続ケーススタディ